ピアノ 愛の劇場 1

残したかった物

愛の劇場

愛の劇場

ささいなこと

ささいなことで けんかをする
ささいなことで 仲直りをする
 
ささいなことで 笑いあう
ささいなことでも 悲しみを分け合う
 
そんな二人だったから 幸せだった・・・・・
 
彼女はねよく ケラケラ笑うんだ 声を出してね
彼はいつも 友達にそう話していました
その 明るさと 小さなことには あまりこだわらない
そんな性格が好きなんだ
デート中に 同級生の女の子と出会って 話をしても気にしない
むしろ 友達になってしまうような 女の子
 
彼はね なんでもおいしそうに 食べてくれるんだ
彼女はいつも 友達にそう話していました
少し無愛想にみえるけれど 本当の優しさと強さを知っているの
仕事に疲れて 辞めたいと言うと 理由を聞いてくれる
そして ちゃんと説明しながら 私の甘さを 叱ってくれるの
 
だから 周りのみんなは 羨ましがっていた
 
でも ささいなことが 重なると ささいなことでは
無くなってしまうのかな?
 
ピアノには88個の鍵盤があって 88以上の音色がある
でも 一つでも音がズレていると キレイな音色にはならない
全部88個の音が キチンと合っていないと 雑音になってしまう
 
今までちゃんと 協和していたはずの たくさんの 音符たちが
それぞれ 外れていく 
たった 一つ違うだけなのに 他の音符たちが迷っていく
 
もう ささいなことで 仲直りはできないの?
もう ささいなことで 笑いあうことはできないの?
もう ささいな悲しみも 喜びも 分かち合うことはできないの?
 
見つめ合って 涙を流しながら 笑い転げた日はもう戻らないのかな・・
これからは 辛いことも 悲しみも 全部一人で 
乗り越えていかなければいけないのかな・・・・・
 
あなたは それでもいいの?
君はそれでも 耐えていけれるの?
 
君が悲しむ場所はどこ?
君が笑う場所はどこ?
 
あなたがのぞむ安らぎはどこ?
あなたが望む帰る場所はどこ?
 
二人が お互いに問いかける もちろん 自分にも
たくさん 考えて 時々忘れて 時間をかけて また考える
たくさん ゆっくり たっぷり時間をかけて・・・・・
 
重なった ささいなことって なんだったのかな?
どうでも よくなったこともあるよね
自分たちだけじゃなくて 家族がいるから?
でも どうでもいいことも たくさんあるね
時間が助けてくれたこと たくさんあるね
 
やっぱりね 私 あなたの前じゃないと 思いっ切り笑えないの
やっぱりね 私 あなたの胸の中じゃないと 思いっきり泣けないの
やっぱり そうだったよ
 
やっぱり 俺 君の前じゃないと 思いっきり笑えないんだ
やっぱり 俺 君の前じゃないと 安心できないんだ
やっぱり そうだったよ
 
たくさん 時間がかかったけど 見つけられたね
本当に 大好きで 大事な人を
 
そういえば ささいなことって なんだったのかな?
二人なら 時が経てば あんな ささいなことでって
きっと 笑って 過ごせるね
どんな ときも どんな 大きなことも

愛の劇場

愛の劇場

愛の劇場

妻よ

今日は良い天気である
その精か妻は気分がよさそうで テレビをみて笑っている
私にとっても 実に幸せなひと時であります
妻が機嫌よく 笑っていれば 何も恐れることはない
私自身が 余計なひと言を言わずに 黙っていればよいのだ
ねえー この芸人さん 面白いわね と言われたら
 あーー そうだね いやーー 実に面白いよ
と 言えば何も問題はないのだ
間違っても 逆らってはいけない 絶体にだ
 
面白いよねーー と振られるのは 面白いと言いなさいな
ということ
そうかな? などは 禁句である
すぐさま え? 面白くないの? と返ってくる
これは 非常にヤバイ ことになる前触れだ
また すぐさま じゃあさ あなたは 誰が面白いと思う訳?
こんなに 面白いのに あなたは面白くないの? え? ホントに?
と畳み掛けてくるのだ
 
そんな 心臓に悪いことになっては いけないんだ!
 
機嫌がよければ 何もいわなくても お茶が出てくる
はい どうぞ と少しぶっきらぼうな 言いぐさだが
あー 有難う ちょうど欲しかったんだよ と返せば
満足そうな顔をしてくれる
 
これらは 長年 妻との生活の中で 私が少しつづではあるが
学んで 習得した技である
 
しかし そうそう この技がうまく機能するとは言い切れない
一番大事なことは 今 妻がどんな 健康状態で 
仕事がうまくいっているのか 疲れていないか
体の調子が悪くないか どうか それを見極めることである
しかし これが非常に難しいのだ
今日は 機嫌がよさそうだと 見解を間違えると大変なことになる
ほんの 気の緩みから 何気なく発した たった一言から
さっきまで 笑って朗らかだったのにも関わらず 
急激に状況が変化するときがある
 
私は 瞬間湯沸かし器 だと ひそかに名付けている
ポチッ っと 妻の怒りボタンを 軽く押しただけで
ぼーーっ と火が付き 目つきが変わり 炎と化すのだ
何もしゃべらなくり 静かになると それは もう恐怖の始まりとなる
私がそのことに 気づかず ヘラヘラしながら アハハ こいつ面白いなー
なあ? なあ? ん? お 面白いですよね・・・・・
と 念を押すように 顔を覗き込むと そこには のっぺら坊の顔が・・・
妻の無表情の顔は 私に向けられることは無く 
じっと 前を見据えている
漫画の吹き出しを つけるとすれば
 何 偉そうに 私に話かけてるの? 気をつけな!
と いうところか?
 
私は身も心も凍りつき 目を見開いたまま 頭の中で
やっちまった! と頭を抱え込んでいる
何だ 何がいけなかった 私はさっき何を言ったのだ
いかん 不用意だった 何を言ったのか 全く記憶が無い
どうすればいい このままではヤバイぞ
しかし 私の問いかけに気づいていないだけかもしれない
そうだ そうかもしれないぞ その可能性にかけて
再度 話かけてみよう
 
アハハ 面白いよな コイツ なんていう芸人なんだ?
なあ お前詳しいだろう? なんでもよく知ってるもんな
だからさ 教えてくれよ!
  
      シーーーン
 
あー やっぱり だめだ いかん 反対に余計に怒らせてはいないだろうか?
失敗だ!  頭を抱えながら 目が泳ぐ
そうだ 謝ろう 謝ってしまおう うん! それがいい!
しかし 何をどう謝ればいいんだ! 
何が妻をいからせたのか この私には 全く分かったいないのだ
あーー こうなると 謝ることさえできない! どうしたらいいんだ!
 
ここで 頭がおかしくなった私は 暴挙に出ることになる
あまりの 急展開に自分の心の制御がきかないのだ
 
どうしたんだ? かあーーさん と 脇のあたりを こちょこちょしてしまった
なんて 私は勇気があるんだ こんな 自分が恐ろしい
まるで ロードオブザリングで 恐ろしい数千の敵に たった数人で
立ち向かった 勇者のようである
どうか 何するの バカ! と言って笑ってくれ 頼む! かあさん!
 
どれだけの 時間がすぎただろうか おそらくほんの数秒であろう
妻が 止めてよ! とどなり 私の手を払いのけ ソファーから立ち上がり
どこかへ行ってしまった
 
やはり 失敗だ 私はなんてことをしてしまったんだ・・・・・
この後の時間の 長いこと 長いこと すっかり夕日が沈み
あたりが暗く
なっても 私は一人 ソファーに座り ぼんやりとしていた
ぼーーと ふぬけの状態から抜け出せずにいたのだ
せめてもの救いは かわいい愛犬が私の味方であること
寂しいときは 私の傍らで 添い寝をしてくれる 心優しい子である
 
こうして 夫婦仲良く始まった 休日はあっさりと 終わったのである
この後 2日 何も会話してもらえないことは 当たり前のことであり
2日は ありがたいことに 早いほうで 3日はよくあることだ
 
ひたすら ゴメン ゴメン と謝り すまん何が悪かったのか
教えてもらえないだろうか? と頼むと 仕方なく 口を開き
教えていただくのだが・・・・  なんやねーーん そんなことかい!
そんな しょうもないことで 私は2日もへこんでいたというのか?
いい加減にしてくれ! 怒るぞ! 
と 言いたいが それこそ 取り返しのつかないことになる暴挙である
このまま うまく謝れば元に戻れる! 
こじらせる訳にはいかないぞ ガマンするんだ とにかく謝ろう
 
すまん すまん そんなつもりで 言ったんじゃないよ 悪かったよ
これから 気をつけます! へへ  とかわいく謝るのだ
本当に分かったの? 
はい! 本当です!
 
妻は 少し笑う  ふふ 今回も謝らせてやった という 充実感が
妻を満たしているのがわかる しかし まだまだ本当の笑顔ではない
口元が少し緩んだだけである もう少し 時間をかけて
妻の心を解きほぐしていくしかない
やれやれ 時間と忍耐が必要だ しかし 普通の生活に戻るには
この道を選ぶしかないのだ がんばれ    俺!
 
しかし このままだと 私の妻はなんて わがままで 自己中で
ヒドイ妻なのか と思われるであろうが
妻は少し Mなのか 私をからかい いじめるのが楽しいようだ
それでいて 以外と料理もマメである
私が 食べたいと思うものが 適時に出てくるのである
あー ○○が食べたいなぁー と言えば 覚えていて
ちゃんと 作ってくれるのです
 
毎日の愛妻弁当も 私が 明日はいらないよ と言わない限り
必ず作ってくれる
好きな物も同じで ラーメンは二人の大好物
どこかで調べて何かと お店と変わらない味で再現してくれる
仕事も真面目で もう何年も働き家計をやりくりしてくれる
家事も二人で分担しながら こまめに掃除 洗濯 をかかさない
 
何が文句あるというのだ こんな妻に何の注文があるのだ
私は妻を心の底から愛しているのです
気が強いけれど 裏をかえせば しっかり者
乱暴だけど じゃれていると思えば 結構楽しい
以前 家族同様の愛犬との別れに 妻は声を出し嗚咽した
私とて 辛かったが 今はそれも一つの思い出であり
妻とも大切な時間の一コマなのだ
 
あの日 妻は本当に嘆き悲しみ 私を頼ってくれた
以外と寂しがり屋で 泣き虫 なんだかんだ 私を大事にしてくれている
そりゃ 妻だからと言ってしまえば それまでだが
なんというか 気が合うというか ここまでくるとお互いいろいろあったし
直してほしいところなど お互い持ち寄って 生きていくしかないのですよ
 
ですから 妻にはいつも言いますが 少しでも私より 長生きしてほしいのです
もし 私が後に残ってしまったら 何をどうして 生きていけばいいのか
妻のいない この家で思いでを抱えながら 生きていくのは 辛すぎます
それに 先だった妻の顔は見たくありません
いつも 私をからかい しんどくても 気丈に振る舞い家族を守り
この家と家族を仕切っている 妻はかけがえのない存在なのです
なんて 弱い男だと思われても 仕方ありませんが
私は妻がいないと 生きていられないでしょう
 
一人で 何ができますか? うまい飯 うまい酒 うまい肴
昔の話をして ふざけ合う 塩の効いたお結び 手作りの漬物
すべて 妻がいてこそでしょう?
 
うとうと している妻の顔
疲れているのでしょう そっとしておいてやろう
かあさん 娘が嫁いだら 二人きりになるねー
好きな アーティストのライブ また二人で行こうね
ボケ防止に ピアノ習いたいと言っていたね
うまくなったら 弾いておくれ
 
お前の苦労も喜びも 私は全部知っている
私の苦労も喜びも お前は理解してくれている
これで いいんだよな だからさ かあさん
頼むから 俺より先に逝かないでくれよ
俺は 俺はね お前がいないと・・・・・・・
だからさ 俺を 置いて一人でどこへも行くんじゃないぞ
いいな 頼んだぞ かあさん よろしくな 
 
 
 
 
 
 
 

愛の劇場

お父さんに教えてもらったこと

今日は いいお天気になって良かったね
 そうね 久しぶりのドライブですもん
 これで 雨だったら テンションガタ落ちだわ
 
妻は心から楽しそうに 笑う いい笑顔です
私も嬉しくなり ホットしました
 
妻はピアノの講師をしています 個人でピアノの教室を
自宅に作り 子供から大人まで 個人レッスンをしています
子供のころは ピアニストをめざしていたようですが
なんだかんだで ピアノ講師に
でも 時々 まだピアニストとして 大きな舞台で活躍したいと
夢は捨てていないようです
 
私は妻に対して 少し気位が高いかなと感じていますが
本人は 上昇志向がそうさせるんだと 言っています
そんな妻が あることをきっかけに ガラリと変わります
 
妻の両親は 父親がほぼ寝たきりで 母親が介護をしています
しかし 母親も かなりの年ですので 老々介護というとこです
当然私達も手伝いますが 毎日ではないので
お母さんの負担はかなり 重いものでした
 
父親は認知症も発症していましたので このままでは
共倒れの様相でした
老人ホームへの 入所は順番待ちで お母さんの体のことが
とても心配でした
 
ようやく 入所先が決まり 準備をしていると
いきなり お父さんは
 ピアノはどうした? あの子は今日も練習していないのか?
と言い出しました
 何いってるの お父さん もう娘は お嫁さんにいって
 ここにはいないでしょ?
 
 そうだったか? あーそうだったな!
また 少しすると
 おい ピアノの練習はどうしてしないんだ?
お父さん だからね・・・・・・
 いやな 練習をしないと うまくならんぞ!
 少しでいいんだ 毎日しないといかんぞ!
 
わかったわ! そう言っておくわね
認知症の方に 逆らってはいけません 
どうせ 何もわからないだろうと バカにしてもいけません
本人は途切れ途切れに 分かっています
自分がバカにされていることも 分かってしまいます
 
なんとか なだめながら 入所先へ
毎週 休日には 三人で会いに行きました
何不自由はないのでしょうが 自分の家ではないことで
どんどん 元気がなくなっていきます
訪れる日を 増やさないとダメかも
しかし 思うようにはいかず お父さんは ますます
元気を無くしていきます
 
妻はふと ホームの娯楽室にある ピアノを見つけました
普段 妻は 私はプロなんだから 報酬をもらわないと
人前では ピアノは弾かないと 言っていました
それが 何気なくピアノを弾き始めました
 あら やだわ すごく音がくるってる 
 調律をしたこと無いんじゃないの? びんびん 変な音がしてる
 
すると 父親が
 おう 今日はピアノの練習をしとるのか?
車イスに乗ったお父さんが近づいてきます 嬉しそうに
 そうかそうか えらいぞ ちゃんとな 毎日練習しないと
 立派なピアニストにはなれんのだぞ
 
大きな声が出ています 三人はびっくりです
 どうだ うまく弾けてるか? 私が聞いてやるから ほら 弾いてみなさい
本当に嬉しそうに 瞳をキラキラさせながら
 
 そうだったんだ! お父さんは私のピアノが聴きたかったんだね
妻は くるった音のまま ピアノを弾き始めました
素人の私が聴いても ヒドイ音です
でも お父さんは うんうん とうなづきながら 聴いています
 
 うまくなったな うんうん うまくなった
 お前は本当に上手だな たくさん 練習しているんだな
手をたたいて 喜んでいます
お母さんは 泣きながら この人は・・・・ 言葉になりません
 
そうね 昔から 私が何をしても 絶体に反対をしない
いつも 応援してくれた 優しいお父さんだった
発表会のときも 一番大きな音で 拍手をしていた
恥ずかしかったけど 自慢げなお父さんの顔を見ていると
笑えてきちゃったのよね
 
それからは 妻は自分で調律師の手配をして 
ホームを訪れるたびに ピアノを弾きました
他の 入所者のみなさんも 嬉しそうに聴いていました
妻はお父さんが 元気になってくれれば それで良かったのです
妻がピアノを弾きだすと ホームの方 全員が集まります
お世話係の方たちも
 
 今度は 私の好きな 演歌にしてくれんかね
 私は ジャズがいいわ わしは 童謡がいいのう
 そうじゃ 童謡がいいのう 歌えるしな
 
好き放題言っています 
でも 妻は 怒らず笑っています 
 そうね そうね わかりました じゃ今度は 童謡にしましょうね
 楽しみにしててね 
 
そんな一年が過ぎようとしていた時 体が弱っていた
お父さんが 最後を迎えました
 
 当分 立ち直れないかもしれないね
 そうね 私達 親孝行できたのかしら?
 できたさ お父さん最後まで 喜んでくれてただろ?
 うん・・・でも やってもやっても 足りないような気がする
 
お父さんがいない ホームには行くこともなく
ポッカリ 心に穴が開いたような
そんな時 ホームの方から手紙がきました
 たくさん ピアノを弾いてくれてありがとう
 でも 最近寂しいのよ あなたのお父さんは
 いつも あなたのことを 自慢していたのよ
 うちの子は ピアノがうまいだろう?
 毎日練習しとるからね あの子は偉い子なんじゃよ
 誰にでも ピアノを聞かせてあげるんだから
と 言っていたと 書いてありました
 
妻はうんうんと うなずきながら
 やだわ この人 私が行くのを 待ってるのよ
少し照れくさそうに でも 嬉しそうに 微笑みました
 
毎週と言うわけにはいきませんが 妻はそれから
ホームにまた ピアノを弾きにいくようになりました
 
妻は言います
 私の弾くピアノで誰かが幸せになってくれるなら
 こんな嬉しいことはない 音楽には 身分の隔てがないように
 特定の人だけのものじゃないのよね
 報酬がいくらとか 無 なら演奏しないとか
 それは 価値観の問題だった 私は それを
 お父さんに教えてもらったわ
 今までの自分が恥ずかしいわ
 ただ 単純に喜んでくれる人がいたら
 小さな舞台も大きな舞台も関係ないんだよ
 
いい笑顔だよ じゃ 今日は思いっきり楽しもうね
久しぶりのドライブだよ
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
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